2010年代の音楽制作などにインパクトを与えたモノ達

※あけましておめでとうございます。年末に書いたんですかポストしわすれてましたw

誕生日が12月12日ということもあって、毎年年末のまとめ記事を書くのが恒例になっておりますが、今年は2019年、つまり2010年代が終了するので、今年は少し趣を変えてみたいと思います。

2010年代に音楽制作に革新をもたらしたハードウェア、ソフトウェア、プロトコルなどの アンケート をGoogleフォームを使って取りました。

アンケートにお答え頂いた皆様ありがとうございました!
アンケート結果をグラフにしてみました。

2010s matome numbers

アンケートには各社DAW(ProTools,Cubase,Logic Pro X, DP)も選択肢としてあったのですが、Ableton Live, Bitwig Studio, FL Studio がアンケート結果に残りました。

モジュラーシンセやライブコーディング、PythonRaspberry PiPi Sound , ArduinoMozziSuperColliderも思ってたよりも伸びました。

全てについて書くと大変なので外せないものをピックアップして以下に書きます。


Ableton Push(2013) & Push2(2015)

Ableton PushはAKAIとの共同開発で2013にAbleton Live 9をハードウェアの様にコントロール出来るコントローラーとしてリリースされ、流石にAKAIと共同開発しただけあってMPCシリーズのNote Repeatボタンもあります。

Ableton Liveはそのままでも楽器に近いDAWですが、Pushに慣れればコンピューターの画面をみなくてもAbleton Liveをさらに楽器らしく使う事ができ、革命をもたらしました。

2015年にはディスプレイがOLEDになり内蔵デバイスの状態がアイコンで表示されたり、Mixボタンでミキシングまで視覚的にわかりやすくなりました。

使った事がある方ならばもはやPushを使わない生活なんてもはやあり得ないと思うはずです。


Ableton Live Suite

​2013年のAbleton Live 9、2017年のAbleton Live 10とリリースされ、とても一言では語り尽くせない魅力が沢山あります。

現在僕はAbleton Live Suite 10 suiteをPush 2と共に使っておりますが、常にAbleton Liveは起動していて生活の一部になってしまいました。

9から10にアップグレードすればわかりますが、もう9には戻れませんw

またKORG electribe 2GadgetPatterning 2など幾つかのiOSアプリケーションやelectribe 2はAbleton Live Projectとしてファイルを書き出す事も出来きるのはかなり便利で特にハードウェアのelectribe 2がハードなのにAbleton Live ProjectファイルとしてSDカードに書き出して保存できるのを発表時に知ったときは腰が抜ける程びっくりしました。


Ableton Link

一昔前なら複数代のMacなどをネットワーク経由で同期したりするのにMacだとAudio MIDI 設定で出来なくもなかったんですが、実際に試した事がある方ならわかると思いますがタイミングのズレが使い物にならないレベルでした。

MIDI Network Setup and MIDI Studio and Audio Devices

KORGから登場したWIST (Wireless Sync-Start Technology) が解決するかとも思ったのですが、対応するアプリケーションが少なく普及したとは言えなかった状況でした。

その後、Abletonから Ableton Linkが登場し上記の方法に比べて簡単にBPMを同期できます。

macOS/Windows、iOS/ AndroidやHardwareのAbleton Link対応のアプリケーションがどんどんと増えています。

僕自身もAbleton User Group Tokyoの言い出しっぺな義務感からかAbleton Link対応のiOSアプリケーションを沢山購入し複数代のiPad Proにインストールしております。笑

僕はAbleton LiveとReason/Reaktor/Bitwig、Ableton LiveとiOS、Ableton Link対応のiOSアプリケーションをインストールした複数代のiPad Proで同期したり様々な使い方をしています。

また昨年に2013年から始めたAbleton User Group Tokyoの5周年記念で、様々な音楽のバックグラウンドがある方々を集めて3〜4人毎にグループに分けて、それぞれ得意な楽器(ギター、ベース、ドラム、シンセ)を担当してAbleton Link対応アプリケーションを使ってセッションを行うというコンセプトの「 Link ∞ 」を行い、小規模ではありましたがとても有意義な時間を参加者は過ごしいい刺激になったと思います。
(今年は僕も含めて関係者が多忙につき実現できませんでした。申し訳ありません。)

昨年の「Link ∞」を思い返してみてあらためて思ったのは、
KORGのGadgetはAbleton Link対応のアプリケーションの中でもスイスのアーミナイフの様な万能なアプリケーションだという事と、

音楽は知識だけではなく経験こそが重要であるという事、つまりスタジオでギター、ベース、ドラムなどでバンドを組んで、他のメンバーのリフに合わせて「そう来たかじゃあこういう音を加えよう」という音を言語として話せるジャム経験があればかなり楽しい時間が過ごせますし、ある程度曲になってきますが、

打ち込みオンリーでやって来て、友人などと「音楽を使って会話できる」経験がないと、例えて言うなら楽器屋さんでヘッドフォン無しで色んな人が好き勝手に鳴らしてるカオスの状態でカオス過ぎてストレスになるので、まとめ役というか指揮者にあたる人がいないと形にするのに時間がかかると思います。


モジュラーシンセサイザーの新たな時代

僕は工学部制御工学科に通いながらバンド活動で三軒茶屋 ヘブンスドアを中心に羅根裏、渋谷 Cyclone、高円寺2万ボルトなどのライブや曲作りが忙しい90年代後半にアナログシンセサイザーを自作したいと思ったのですが、当時は今みたいに「達人と作る アナログシンセサイザー自作入門」などの素晴らしい良書も無かったので国会図書館で大昔ブームだった頃の書籍を当時の彼女も使ってローテーション組んでコピーしたりもしました。

ファーストシンセサイザーが再ブレイクする前のMS-20なので当時からMOTM、ModcamやMoog Modularや孫の代まで使えるBuchlaやsergeの存在は知ってましたが、学生にはとても手が出る値段ではありませんでした。

モジュラーシンセといっても音楽仲間には通じない状況でもありました。

そして何より重くて機能のわりにはパネルも大きかったんですが、ドイツのDoepferがユーロラック規格(Eurorack format)を提唱して以降、じわじわと盛り上がり始め2010年代はかなり盛り上がり、DCカップリングのAUDIO I/Fを使ってDAWからCV制御したりも今ならではの使い方だと思います。

Ableton CV Tools

今日のモジュラーシンセサイザーの再燃について詳しくは「 I dream of wires 」を見ればわかると思います。
(少し前までNetflixで観れたんですが、2019.12月現在は見れない様です。)
DVDもしくは日本語の字幕がありませんがVimeoで購入してみる事が出来ます。

https://vimeo.com/ondemand/idreamofwires

またVCV RackSoftube ModularCherry Audio Voltage Modularなど、Mac/Windowsなどで動作するソフトウェア版のモジュラーシンセも出始めており、「ハードウェア版のモジュラーシンセを始めるにはお金がないけど、どんなものだろう?」という疑問を持ってる方にはいいと思います。

とくにVCV RackはWindows/mac/Linuxで動作しオープンソースなのでプログラミングができる方は自分自身でモジュールを開発したり、VCV rackのサイトで開発したモジュールを無料/有料で配布したりも出来たり、VCV-BridgeというAudioUnit/VSTプラグインでVCV RackとDAW連携して使える様に出来たり、HOSTというモジュールでVCV Rackソフトウェア内でVSTプラグインが使える様にもなり、目まぐるしく進化しています。

DAWと共に使うにはパワフルなコンピューターが必要ですが、僕としてはVCV専用機を作ったり、ハードウェアの以下のYouTube動画の様にハードウェアのモジュラーシンセと組みわせせるも面白いと思います。


Love Cording

もしかしたらまだ知らない人もいるかもしれませんが、ここ3〜4年はライブコーディングというリアルタイムでプログラミングしながら音楽を演奏するのが盛り上がっております。

ここでいうライブコーディングは音楽や映像に特化したライブコーディングなので「そんなものは昔からあった」という音の出ないライブコーディングを取り上げてイチャモンつける老人はあっちに行ってくださいw

Toplap : ライブコーディングの総本山的なサイト

https://toplap.org/

全てをあげるとキリがないのでTidalcyclesとSonic Piだけ紹介します。

  – Tidalcycles

tidalcyclesはかなり初期の頃から使っていますが、僕はTidalcyclesを独学したおかげでやっとSupercolliderにも慣れてきました。
なんだかんだ独学が一番!
もしかしたらそこらの遊んでる大学生より勉強してるかもしれませんw

https://tidalcycles.org/

  • Sonic Pi

こちらもサウンドエンジンはSupercolliderなのでとても音が良く、Windows/macOS/Raspberry Piで楽しめます。
名前にPiが付く通りRaspberry Piにプリインストールされてます。

https://sonic-pi.net/

TidalcyclesもSonic Piも無料で楽しめるので公式サイトやYouTubeなどをみて見よう見真似で挑戦してみる事をオススメします。


MPC LIVE、MPC XやForceなどスタンドアローンで製作できる電子楽器が再登場

今年はAbleton Live&Push, Logic Pro Xももちろん使っていましたが、片瀬小中学校から親友で中2の時に僕に「アッチこれ聴いて!」とOzzy Osbourne Miracle Manをウォークマンで聴かせてもらい名曲を聴いた時に背中に電撃が走り、その後でMetallicaのRide The Lightningを聴かせてくれたメタルの戦友が地元に帰ってきてジャンルは違えどいまだに音楽を続け、僕はelektron DigitaktAnalog Rhythm mk2、彼はDigitaktOctatrack MKII をお互いに教えあったり、我が家のKRK Rokit 6でまだ防音工事をしてないので昼間に爆音でelektronのそれらのハードや今僕が作ってる曲や既にリリースしたけどマスタリングしなおしたい曲を聴かせたり、iPhoneのなんとかというライブ配信ツールで我がエレクト浪人H.Qでラップをしながら生放送をしたりと色々と刺激になりました。
もう何年も孤独過ぎて本当に辛かったので友人が遊びに来てくれるのはとても嬉しく、音楽的にも刺激になりました。

生放送している最中にAbleton Live&Pushで作ってる最中のプロジェクトのロード時間が長くて、改めてハードウェアの良さを再認識し、MPC 60 Mk2や最近のAKAIのMPC LiveMPC XAKAI ForceRolandのMC-707などスタンドアローンで完結するハードも2010年代後半はかなり熱かったと思います。

AKAI Force

Roland MC-707


MPE(MIDI Polyphonic Expression)

僕はV-Synth GTの鍵盤でAftertouchの可能性を初めて知って以来、ベロシティのみの鍵盤は全く欲しくなくなりました。
Aftertouchのアサイン次第でもかなり面白い事が出来るんですが、MPEは正式のMMA (MIDI Manufacturers Association) が承認したMIDI仕様になる前は記憶が確かならば「Multidimensional Polyphonic Expression」という名前で僕的にはこちらの方が分かりやすいんですが、要するにこれまでの鍵盤と違って以下の5つの表現ができる規格で確かキーボディストもギタリストみたいに自由自在で縦横無尽に演奏を表現したい事からRoli社や尊敬する天才でかつてMPCシリーズをAKAIと共同開発したRogerLinnさん、Keith McMillenさんが議論して作られた規格です。

5D
– Strike(On velocity)
– Glide(横に滑らせる、Pitch Bend)
– Slide(弾きながら手を前に滑らせる)
– Press(aftertouch)
– Lift(鍵盤を話す強さ、Release Velocity)

Media IntegrationさんのMPEの日本語の説明がわかりやすいかもしれません。

対応するハードウェアなどはどんどんと増えており、Roli社の傘下になったFxpansionのStrobe 2やCypher 2などは僕もRoliのSeaboard Blockと共によく使っています。

Cypher 2は以前にレビューを書いたのでよかったら参考にしてみてください。

Roliの製品を少し紹介

Roger Linn DesignのLinnstrumentなど色々とあるのですが、持っていないので僕が使ってるRoliの製品をざっくりと紹介します。

Roliの製品ではSeaboard RiseシリーズとBlockシリーズのSeaboard Block、ソフトウェアでカスタマイズ可能なLightpad BlockなどでMPE対応ソフトでこれまで出来なかった圧倒的な表現力が可能です。

僕はBlockシリーズのSongmaker KitをメインのMacでもiPad Pro、iRig Pro DUO、ヘッドフォン、電池で動く電子楽器を持って近所の芝生がいい感じの公園や暖かい日の弁天橋の近くで弾いたりしてました。
USB-Cケーブルで充電してして使い、普通の鍵盤と違い鍵盤(スイッチ類)が剥き出しになっていないので故障する心配もなく場所を選ばずに使えます。

僕は96年から様々なMIDIキーボードを何台も使いまくって故障して使える部品だけ部品取りをして捨てるといういわばMIDIキーボドは使い捨てに近いものだと思っていましたが、このRoliの製品はその概念を覆してくれましたw

現在Native IstrumentのKOMPLETE 49 Mk1を使っていて、一番左のD(レ)のキーが壊れかけているのですが、Mk3が出るとしたらMPEを出力できたら最高だと思います。

国内ではMedia Integrationさんが取り扱っております。

https://www.minet.jp/brand/roli/top/

今の所はスタートレックのホロデッキは2019年現在は実現不可能なのですが、もし可能だったら富士山や景色の良い山の上でおにぎりとSpectrasonicsのOmnisphereを弾くのはきっと気持ち良いだろうと思いますが、iPadでMPE対応のアプリケーションもあり、どうしても曲作りっていうのは運動不足気味になるので運動にもなるし2019年現在はそれもいいかなと思ってます。

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2019年現在の製作環境でもRoli Songmaker Kitでも勿論活躍↑

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バッテリー内蔵なので近所の芝生が気持ち良い公園でもiPad ProでiOSアプリのMoog Model D、Animoog、Model 15などMPE対応のシンセサイザーを鳴らし、公園内で放飼いのゴールデンレトリバーをチラ見しながら面白い音を出して更にチラ見を繰り返すと大喜びでダイビングボディアタックを喰らうのも含めて楽しいですw

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弁天橋にてこのセットで鳴らしてると外国人の観光客が「すみません。写真を撮らせてください。」とわざわざ日本語で話しかけてくれて、
僕は「英語で構わないよ。どこから来たの?」と聞くとカルフォルニアから来たと言って少し色々と話しました。

現在対応のDAW/ソフトウェアシンセサイザー/ハードウェアシンセサイザーはRoliのサイトのCompatible synths, DAWs and instrumentsというページがわかりやすいです。

対応のソフトウェア、ハードウェアが2020年代はもっと増えていくと思いますが、どうなるか楽しみです。

※MPE 参考リンク↓

Roger Linn Design Linnstrument

http://www.rogerlinndesign.com/linnstrument.html

What is 5D Touch?
https://support.roli.com/support/solutions/articles/36000019157-what-is-5d-touch

MIDI Polyphonic Expression (MPE) Specification Adopted!

https://www.midi.org/articles-old/midi-polyphonic-expression-mpe

Compatible synths, DAWs and instruments

https://support.roli.com/support/solutions/articles/36000037202-compatible-synths-daws-and-instruments

さて2020年代はどの様な音楽製作環境を変えるモノ達が現れて、どの様な音楽が生まれるか今から楽しみです。